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 ぶらっと両国 江戸の情緒を残す相撲の街
 おひかえなすって。おいら、鼠小僧次郎吉と呼ばれるケチな野郎でござんす。鈴ケ森で打ち首になってから、両国の回向院で静かに眠っていたところ、漢字館で両国の特集をするから案内役をするようになんて言われてたたき起こされちまった。ま、引き受けたからには両国の面白いところをたっぷり紹介するのでまかしといてくれ。
▲回向院
▲江戸東京博物館
▲野見宿弥神社
▲江戸相撲小物店
「高はし」の店内
▲本所松坂町公園(吉良邸跡)
▲鼠小僧の墓
両国へ行くには総武線の両国駅か今は大江戸線とかいう新しい地下鉄があるんだ。おいらはもちろん乗ったことはないけど情報だけはバッチリさ。


まずは国技館。隅田川を渡ると電車の窓からTVなどでお馴染みの屋根が見えてくるぜ。やっぱりここへは寄りたいね。相撲博物館が隣に常設していて、ここでは相撲の資料や、力士の作品展などテーマをもった資料が展示されていて、しかも無料。

お次は隣の江戸博物館。地下一階から七階までを使っておいらの走り回っていた江戸の町を実物や復元した資料をもとに再現してるんだ。
お、懐かしいね。中村座だよ。今なんの演しものをやっているんだい?岩井半四郎ののぼりがたっているぜ。実はおいら、ここの木戸番の息子だったんだ。
建具職人になったんだけど博打にはまっちまって……。
いけねえ、
いけねえ、ついほろりとなっちまった。
ボランティアでガイドもいるからたっぷり遊べるぜ。

お次は江戸博物館からちょっと行ったところにある野見宿弥神社だ。ここには歴代の横綱の名前が刻まれた石碑があったり相撲の神様が祀られているので、横綱になると明治神宮だけじゃなくてここでも奉納相撲をするんだぜ。

今度は国技館とは反対側。清澄通りと京葉道路が交差しているところに江戸相撲小物の店「高はし」へ行ってみないかい。漢字館のプレゼントもここで買ったんだ。面白いものがいっぱいあって、両国へきたら是非ここに寄って故郷への土産にしたら喜ばれるぜ。

さて本所警察の裏っ側、海舟通りとはその名のとおり、勝海舟生誕の地で両国公園の中には石碑が建ってるんだ。おいらもえらい人と同じ土地で生まれたもんだぜ。

そのまま両国小学校を過ぎると吉良通りにぶつかるんだ。ここはご存知、吉良さまのお屋敷があったところ。首洗い塚を同行のカメラマンが写そうとしたら「シャッターがおりない、霊がいる」って騒いでいたけど、電池がなかっただけだったんだ。おいらは討ち入りの時はまだ生まれてなかったけれど、話はじいちゃんからよく聞かされたよ。今は十二月十四日になると、本所松坂町公園(吉良邸跡)で午前中は「義志祭」、午後は「吉良祭」が仲良く行われるそうだぜ。

ようやく回向院だ。明歴三年(一六五七年)の大火事の犠牲者の為に建てられたんだけど天宝四年(一八三三年)に相撲興行をしてから相撲関係者の霊をまつる力塚という大きな石碑があるんだ。伊勢屋の四郎兵衛旦那がおいらの墓をここにたててくれたんだけど、おいらの墓石を削り取っていくとギャンブルに強くなるなんて誰かが言いだしたせいで墓石が削られて、その音がうるさくておちおち眠ってもいられねえや。

さて、ここをまっすぐ行くともう駅だぜ。ちゃんこ鍋でも食ってから帰ったらどうだい。おいらはそろそろお役目ご免ということで戻らせてもらうぜ。じゃあ、あばよ。



漢字館Vol.9 掲載