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 石割桜
 盛岡地方裁判所の正面に石割桜があります。ごらんになった方も多いかと思いますが、樹齢350年ほどで、落雷で割れた花崗岩の隙間に桜の種が入り岩を押し広げながら成長したと言われています。
 
 この石割桜の民話をご紹介しましょう。
 昔、力持ちのおさつという娘がおりました。力ではおさつに勝る者は盛岡城下にはなく、人々は「おさつより力持ちは岩手山のふもとの太郎しかいない。」と噂していました。
ある日、おさつと太郎は雫石川原で石を持ち上げる競争をしました。太郎は五百貫(約1.8トン)もの大きな石を持ち上げましたが、おさつはさらに5倍、6倍もある石を持ち上げさらにそれを投げました。
おさつの投げた大石は、殿様たちが花見をしていた城近くの屋敷の庭に落ちました。おさつは驚かせてしまったお詫びにと、その大石を割り、中に桜の若木を植えました。この若木が年々石を割り今では見事な花を咲かせています。

 壬生義士伝の映画を見てきました。浅田次郎原作、新撰組で一番強いと言われた男、岩手出身の吉村貫一郎を描いたものです。新撰組に入るため脱藩する前、吉村貫一郎は故郷の寺子屋で教えていました。その場面での心に残った科白があります。

 「南部の桜は石を割って咲く、辛夷(こぶし)は北を向いて咲く。」

 一昨年の春、祖母の七回忌で盛岡へ行きました。石割桜が満開でした。


 ランドセル
 友達の話です。
 三人姉弟の真ん中だった彼女はいつもお姉さんのお下がりばかり。唯一自分のものとして新しく買ってもらったものがランドセルでした。止め金がマグネットになっているタイプが出たばかりで、それがどうしても欲しくって、母に泣いておねだりしたそうです。
 最近ランドセルのミニチュアを作るというのが流行していて、女の子の場合はお嫁に行くときに持たせてあげるとか。その話を聞いて彼女は「思い出をミニチュアにされたくない。」と最初は強がりを言っていましたが、本当は自分の為にだけに買ってもらったランドセルを、できることならいつまでも取っておきたかったと言っています。
漢字館Vol.14掲載