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風の音
日光、中禅寺湖畔にイタリア大使館別荘記念公園があります。
イタリア大使館の別荘は昭和3年に建てられてから、平成9年まで駐日大使の別荘として使用されていましたが、老朽化がすすみ、改装するには莫大な費用がかかるため、イタリア大使館はここを手放しました。そして平成10年に栃木県が買い取り、建築された当時の様相をそのまま残して復元し、公園として平成12年10月に公開しました。
ここの大きな窓からみる中善寺湖はまるで一枚の絵のようです。二階へ上る途中、山に面した小さな部屋がありました。シェスタとして使われた部屋なのでしょうか。そこの椅子に腰掛け、目をとじると優しいガラス越しの木漏れ日に誘われついうとうと・・・。
・・・何か音が聞こえます。目をあける気にならず、そのまましばらく聞いていました。
さわさわ、ざわざわ・・・。これはもしかしたら木々を揺らす風の音でしょうか。都会の喧騒の音に慣れてしまっていたので、それが風の音だと気づいたときはちょっとした驚きでした。
体全体を包み込むような懐かしい音。そんな風の音を最後に聞いたのはいつの頃だったのでしょうか。そんなことを考えながら、風の音に身をまかせていると、時がゆったりと穏やかに流れていきます。
先日テレビで宇宙飛行士の毛利衛さんが、オーロラの音を聞いたと話していました。オーロラは光ですのでもちろん音が聞こえるはずはありません。しかし宇宙から見たオーロラの美しさからは、バロック音楽のような音を感じたそうです。
人間はそれぞれの五感のどこかで、美しい自然を感じるのでしょうか。これからは風の音、光の音を意識しながら、少し歩みをゆるめてみましょう。
イタリア大使館別荘記念公園
昭和3年にアメリカの建築家、アントニー・レーモンドの設計により建築されました。内外装には日本のスギが使われ、西洋建築との不思議な融合をみせています。大正末期から戦前にかけて、中禅寺湖畔は各国大使館の別荘が建ち並び、「夏場は外務省が日光に移った」と言われるほど、華やかに賑わっていました。この本邸は国の登録文化財に指定され、また副邸は国際避暑地歴史館として公開され、昭和初期の奥日光リゾートの歴史を紹介しています。
漢字館Vol.18掲載